松坂桃李さん×山本美月さんのドラマ「パーフェクトワールド」の第1話「再会した初恋の人は車いすの建築士…変わる運命」のネタバレ(あらすじ)をまとめました。
第1話ネタバレ(あらすじ)
再会した初恋の人
デザイン事務所の事務をしているつぐみは、居酒屋へと向かっていた。
上司に頼まれたものを届けるために。
スマートフォンで場所を確認しつつ、無事に目的地に着いた彼女は、そこで運命の再会を果たす。
相手は高校時代の初恋の人、鮎川樹だ。
「鮎川くん!」
思わず声を掛けた彼女だったが、遠くから眺めるだけの恋心。
彼とまともに話した事などなかった事を思い出し、慌てて自己紹介をしようとすると「川奈」と、樹も彼女を覚えていてくれたのだ。
せっかくの再会なのだから…と、彼女も酒の席に混ざり、思い出話に花を咲かせた。
そうして先に帰る事になった彼と、名刺を交換する事になった彼女は、その名刺の「一級建築士」と言う肩書きに嬉しくなった。
なぜならそれは彼の高校時代からの夢だと知っていたから。
それは卒業文集の将来の夢の所に記されていたもので、文集を貰ってすぐに、彼女は彼の夢を確認したのだ。
その事について、「すごい!高校時代からの…」夢が叶ったんだね?と彼女が続けるより先に、彼の元には同僚が運んできた車いすが届いた。
お座敷席に座っていたから、気づかなかったのだ。
彼が車いすである事に。
その後、彼の会社の上司や同僚たちが教えてくれた。
樹は大学の時に事故に遭い、車いすの生活になったのだと。
驚いてしまった。
彼女の記憶の中の彼は、今も高校のあの体育館でバスケをしていたから。
そんな彼と再会を果たしたら、もうバスケが出来ない体になっていたのだから。
そして猛烈な後悔に襲われた。
「鮎川くんは、今もバスケやってるの?」と尋ねてしまった事に。
サラッと流してはくれたものの、なんと無神経な質問をしてしまったのだろう…と、悔やまれてならないつぐみだった。
リダイレクトアート展
翌日、昨日の事をどうしても謝りたいと、彼の会社を訪ねた。
驚く樹だったが、わざわざ謝りに来たと言う彼女を誘って、二人で高台へと向かった。
そうしてその高台から景色を眺めながら、彼はコンペの話をしてくれたのだ。
市のコミュニティーセンターを建設する予定で、コンペがあり、彼の初期コンセプトを上司が気に入ってくれて、若手で挑戦してみろ…と言ってくれたのだと。
「凄いね!」と嬉しそうに聞いてくれるつぐみに、「コンペは大変だけど、頑張りたいんだ。こんな体になってから、頼る事はあっても、人から頼られる事は少なくなったから」と。
そして自分の体の事も話してくれた。
大学時代に事故に遭い、胸から下が麻痺してしまったのだ…と。
「大変だったね」と言う彼女に、笑顔で「全然」と答える彼は、器用に車いすを操って見せてくれる。
その笑顔を見せるまでに、一体どれほどの苦労があったのだろう。
幾つの苦しみを乗り越えたのだろう。
そして今度は彼が彼女に尋ねた。
「もう絵は描いてないの?」と。
彼はずっと見ていたから、彼女がいつも絵を描いている所を。
「もう随分描いてないね」と答えた彼女。
けれど今でも絵は好きなのだ。
多分本当は仕事だって、あの頃の夢のように絵に関わる仕事をしたいはずなのだ。
「絵は今でも好きだよ。明日もリダイレクトアート展を観に行くの」と言う彼女の言葉に、彼が食いついた。
「それ、俺も観たかったヤツだ!」と。
そうして二人は約束をした。
明日一緒にそのアート展を観に行く事を。
それは初恋の人との初めてのデートのようで、ワクワクが止まらないつぐみだった。
車いすへの戸惑い
約束の日、約束の場所で樹を待っていたつぐみは、現れた樹に驚いてしまう。
てっきり車いすで現れると思っていた彼は、車で現れ彼女を乗せてくれるのだ。
車いす用に、アクセルとブレーキが一つのレバーになっており、それを左手で。
ハンドルにも握りやすい取手が付いていて、それを右手で操作し運転する仕組みなのだ。
そうして樹の運転でギャラリーへとたどり着いた二人だったが、思いがけない出来事が待っていた。
美術館やギャラリーなどは、バリアフリーとなっている施設が多いのだが、今日のアート展のギャラリーは、古いビルをリノベーションして作られた事もあり、バリアフリーになっていなかった。
受付を一階で済ませ、二階のアート展へと進むのだが、エレベーターがない為車いすでは二階へと登る事が叶わない。
「俺は待ってるから一人で見てこいよ」
あっさりと状況を受け入れた彼。
きっとこんな出来事は良くある事なのかも知れない。
けれど彼女は納得行かなかった。
普段はおとなしい印象の彼女が、彼のために食い下がる。
搬入用のエレベーターもないと言うギャラリーに「じゃあ、車いすの人はどうすればいいんですか?エレベーターがないならないと、ホームページにも書いて置いてくれないと、不親切じゃないんですか?」と食って掛かったのだ。
自分のために怒ってくれていると分かったであろう彼は、「川奈、もういいよ。お騒がせしてすみませんでした」と受付のスタッフにも謝罪し、彼女を連れてギャラリーを後にした。
そうして二人で車に乗ると、彼女は自分の確認不足だったと詫びる。
けれど彼も普段はちゃんと調べるのに、ギャラリーだから大丈夫だろう…と油断してしまったのだ。
そんな話をしながら、二人で食事に向かうと、そこで彼の上司の渡辺とそのおいの晴人と遭遇。
「やっぱり運命の出会いなんじゃ」とからかう晴人に、彼への気遣いなのだろうが「私たちはそんなんじゃありません」と強く否定したつぐみ。
その否定が微妙な空気を作ってしまった。
その事を感じていた彼女は、食事の席で彼に先ほどの否定の件で詫びると、「結婚も恋愛も諦めたから。だから誰とも付き合うつもりはない」と言う彼。
元々事故に遭う前は、高校の時からの彼女である雪村美姫と付き合っていた。
きっと何もなければ結婚していただろう。
けれど彼は事故に遭って車いすに。
それが原因で別れてしまったのだと言う。
更に排泄の問題にも触れた。
下半身の感覚がないから、漏らしていても臭いがするまで気づかない事もあるのだと。
「そんな彼氏嫌だろう?」と笑う彼に、彼女はまた強く否定する。
「好きなら、そんなの屁でもない!」と。
それでも「誰とも付き合うつもりはない」と言う彼は、「川奈をそう言う目で見る事はないから、安心しろ」とまた笑うのだ。
優しい笑顔、けれどそれがとても切なく感じてしまった。
帰宅後、妹と住む彼女の家には幼馴染の洋貴が来ていた。
そうして落ち込んでいる彼女の話を聞いてくれたのだ。
「お前はまだ戸惑ってるだけだよ。話を聞いただけの俺だって戸惑うもんな。あの鮎川が車いすだなんて」と言う洋貴。
その言葉に気付いてしまった。
あんなにギャラリーで怒ってみせたけれど、実は自分が一番、彼の車いすを受け入れてないんじゃないか?と。
ずっと好きだった。
大切な初恋の思い出だから。
繰り返し、繰り返し頭の中の元気な彼のバスケをしている姿を思い返していたから。
だからどうしても戸惑いが消えない。
彼が車いすである事に。
同窓会と恋人のフリ
高校の同窓会が東京で行われる事になっていた。
洋貴に彼の事を話した時に、「俺も久々に会いたいな、鮎川に。同窓会くるかな?」と言っていたからだろうか。
つぐみは次に樹にあった時に、同窓会の話を切り出したのだ。
「川奈は行くの?」と尋ねられ「私は行くつもり」と答えると「じゃあ、俺も一緒に行こうかな」と。
彼女に誘われたからじゃない。
彼には行く必要があったのだ。
高校からの恋人で、事故が原因で別れた美姫。
彼女から結婚式の招待状が届いていた。
返信せずにいた彼の元へ、美姫から電話があり、留守電には結婚式の事と、それが無理ならせめて同窓会で会えないかな?と言う事が録音されていたのだ。
だから彼はつぐみに頼んだ。
恋人のふりをして美姫を安心させたいんだ…と。
そしてふりでも恋人になってみたい!と思ったつぐみは、承諾し二人で同窓会の会場へ。
最近運命的な再会を果たし、付き合う事になった。
付き合っている事以外は全部嘘じゃない。
けれどやはり居心地が悪い。
嘘でもいいから恋人にと望んだのは自分なのに、やっぱり嘘の恋人は楽しくないのだ。
そうして彼を見つけた美姫が話したいと彼と共に会場の外へ。
そんな二人を見て、トイレへと向かったつぐみは、その途中、話している二人を偶然見つけてしまった。
いつも笑顔で話している彼だったが、美姫が結婚式で樹にちゃんと祝福されたい…と話すと、「そうしないと罪悪感で幸せになれないのか?」と冗談だと言いながらも、辛辣な言葉をぶつけるのだ。
「私は今でも樹が好き。好きなのは樹だけ、これからもずっと」と言う美姫に「じゃあ、なんで別れたんだよ!」と怒りをあらわにする樹。
彼から別れを切り出した。
体の事が原因だろう。
けれど彼女はすんなり受け入れた。
だから彼は思ったのだ。
こんな体の男じゃ、結婚も出来ないから、あいつはすんなり別れを受け入れたのだ…と。
そうして絶望した。
そんなやりとりを聞いてしまい、辛くなったつぐみは、そこから去ろうとした時に、何かにぶつかり彼に気づかれてしまった。
その音を合図に、彼は美姫との話を終え、会場を一人後にしてしまう。
そのことをトイレで美姫から聞いたつぐみは、慌てて彼を追いかけた。
でも彼はあんな場面を見られてしまい、一人になりたかった。
「頼むから放って置いてくれ!」と追いかけて来た彼女に、初めて感情をぶつけると、その途端排泄障害により漏らしてしまったのだ。
濡れた服を慌ててハンカチで拭う彼に、彼女もハンカチを差し出そうとするが、「これ以上かっこ悪い所、見られたくないんだ!」と泣き出す彼。
だから彼女は上着を脱いで、そっと彼の足にかけて濡れた服を隠した。
そして無言のまま、静かに彼の車いすを押し、動き出した。
30歳まで
彼の家にたどり着いた二人。
彼は着替え、彼女はコーヒーを淹れる。
そうしてコーヒーを飲みながら、二人で色んな話をした。
テーブルに置いてある金具は、彼の背骨を固定するために、以前体内に入れてあったものだと言う事。
美姫の結婚式に招待されていた事。
美姫を安心させるためと言いながらも、あの恋を引きずっていたのは、彼の方だったのかもと言う事。
そして彼は美姫と別れてなにもかもどうでも良くなった頃の話をしてくれた。
その時は本当に絶望して、死のうと考えていた。
けれど体は動かない。
飛び降りる事は出来ない。
なにかを使って死のうにも、体を動かす事も出来ない。
彼に出来たのは、自分の首を自分で締める事だった。
けれど力の入らない彼には、自分を殺す事も出来なかった。
そうしてその事にひどく絶望したのだと言う彼。
彼の話を聞いた彼女は、泣きながら「凄いよ、尊敬するよ」と言うのだ。
驚く彼に「すごく辛くて、受け入れるのも大変だったと思う。なのにちゃんと乗り越えて、こうして夢を叶えて建築士になって」と、彼の頑張りを心から尊敬している様子の彼女。
そんな彼女の気持ちに、彼は救われたのかも知れない。
そうして彼女は続けた。
本当は絵に関わる仕事がしたかったと。
美大も行きたかったのに、自信が無くて。
親に反対されたのを理由に諦めてしまったのだと言う彼女。
「だったら、今からでも絵に関わる仕事をしてみたら?インテリアデザインだって、絵に関わる仕事だと言えない事はないと思うし」と言う彼。
たしかにその通りなのだ。
けれどそうしたくても彼女には事情があった。
それは30歳には松本に帰ると言う父との約束だった。
けれど「親に言われたからって諦めていいの?自分の本当にやりたい事をやらなくていいの?」と、真っ直ぐな瞳で彼女に尋ねる彼。
そう、本当はやりたかった。
でも自信が無くて手を伸ばせなかっただけ。
30歳までに松本に帰るから…と言うのも、逃げる為の言い訳の一つだったのかも知れない。
そんな彼女の背中を押したのが、彼だった。
運命の再会。
晴人が冷やかすように言った言葉だったそれは、二人にとってあながち間違いではなかったのかも知れない。
新たな前進
彼に話を聞いてもらえた彼女は、決意した。
インテリアデザインをやってみようと。
幸い彼女が務めているのはインテリアデザインの会社なのだ。
本人のやる気があれば、きっと事務ではなくデザインの仕事も挑戦出来るだろう。
そうして二人で夢を見る。
いつか樹がデザインした建物に、自分のデザインしたインテリアが配置される夢。
そんな二人で叶えたい未来を語りあったのだ。
そうして彼も何か吹っ切れるものがあったのだろう。
出席しないはずだった美姫の結婚式に、つぐみを伴い参列する事が出来たのだ。
そうして花嫁姿の美姫に、「おめでとう」と心から伝える事が出来た。
それもつぐみのお陰だ。
「付き合ってくれて、ありがとう。これでやっと前に進める」と、晴れやかな笑顔を見せた彼。
そうして二人は新たな一歩を踏み出した。
彼はコンペに向けて、ただのバリアフリーではなく、車いすの目線などを意識したデザイン性も取り入れたものを作りたいと提案し、コンペにそれが盛り込まれる事になった。
彼女は早速デザイン画を描き始めた。
完成したら上司に見せて、夢への一歩を踏み出すために。
翌日、コンペに向けての追い込みで頑張る彼と会社の仲間たちへの差し入れを持ってきた彼女は、そこで彼が入院した事を知らされる。
褥瘡(じょくそう)が出来て発熱したのだと。
急ぎ病院へ行くと彼は処置中で、褥瘡が出来た上に尿の感染症を起こしているそうだ。
褥瘡は悪化すると敗血症にもなり兼ねないので、入院の必要があると言われてしまう。
同情されて生きるのはもう嫌だ
処置を終え、眠っていた樹が目覚めた時、そこにはつぐみが居た。
ナベさんは一旦会社に戻ったと言う彼女に、車いすを取って欲しいと頼む彼。
けれど入院しなければならないのだ。
それを伝えても、「コンペは明後日なんだ。入院している場合じゃない」と言う彼。
なんでも彼が描いて仕上げなければならないものがあるようだ。
必死に彼女が止めると「迷惑かけたくない」と言う彼は、涙ながらに「障がい者だから仕方ないねって、同情されて生きるのはもう嫌なんだ」と訴える。
彼の思いに応える為、彼女は彼の仕事の道具を病室に運び込み、彼が作業し彼女がサポート。
熱は下がっていない。
苦しい体調と戦いながら、必死に作業する彼。
時折吐いたりする事もあるのだ。
そんな彼の様子に「もうここまで頑張ったのだから十分だよ。誰も責めたりしない。みんな鮎川くんの気持ちを分かってくれる」と、これ以上の作業を止める彼女。
けれど頑なな彼は、絶対に譲らない。
「また今度頑張ればいいよ」との彼女の言葉に「いつ死ぬかも分からないのに、次なんてないよ。俺には今だけだ」と切実な思いを告げる。
残りの作業は着色だけと言う所まで来ていた。
「分かった。じゃあ、私がやる」と言い出した彼女。
彼の想いと頑張りに応えたかったのだ。
けれど言い出したものの、彼の想いの詰まった仕事だ。
自分のせいでダメになったらどうしよう?と不安になってしまう。
そんな彼女に彼は言うのだ。
「高校の時の展覧会、見に行ったんだ」と彼女の絵を見に行った話をしてくれた彼。
ストーカーみたいだけど、こっそり見に行ったその絵は、俺の高校時代そのものって感じの絵だった…と言う。
そんな彼女になら、大事な仕事の仕上げを任せられる…と。
そうして彼の指示の元、彼女が絵を完成させたのだ。
そうして二人で力を合わせて完成させたお陰で、彼のデザインは無事にコンペを通過。
その報せに、ジュースで祝杯をあげようと彼女が病室へと駆けて来た。
喜ぶ彼女に、やはり彼も嬉しそうで、「川奈が居なきゃ、出来なかった」と感謝の気持ちを伝えてくれた。
「本当に運命の出会いなのかも」と嬉しそうな彼と、いい雰囲気になった二人だったが、恋も結婚もしないと決意している彼は、彼女にキスをする事は躊躇われたのだろう。
結局口づけを交わす事は無かった二人。
そしてそんな二人の元へ長沢葵が現れた。
「樹くん、私が居ない間にこんな事になってごめんね」と彼に抱きつく長沢。
長沢が何者で、彼とどんな関係なのかを知らないつぐみは、長沢の様子にただただ呆然とするばかりだった。