ドラマ「太陽を抱く月」の第2話「ふたつの月」のネタバレです。
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文学の師
王宮では新しい侍講院の侍講官の人選が。
大妃の息のかかった外戚勢が、王様の前にリストアップされていた。
次の王となる世子の教育に携わる人間だ。
現王が外戚排除の動きを見せているから、なんとしてもそれを阻止したいと言う大妃の考えからだ。
けれど王はヨヌの兄のホ・ヨムを文学の師に選んだ。
いずれ王の忠臣となるであろう人物だから。
まだ年若く17歳で、先日科挙の文科に首席合格を果たした者だ。
年もそう離れていないから、師としてだけでなく、友にもなれるかもしれない。
自分の経験から、少しでも息子に苦労をさせたくないと言う親心で選んだ師。
けれど世子は元から拒否権を行使する!と、真面目に学ぶつもりはなく、更には師が想像以上に若かった事に、バカにされているような気分になってしまった。
父の想いもまだ知らない。
ヨムがあのヨヌの兄だともまだ知らない。
再び結ばれる縁
誤解されたまま、文学をまともに学んで貰えない。
世子の元に講義に出向いても、目も合わせず黙々と書を読んでいる世子。
ヨムが退室しようとすると、何もせずに俸禄だけ貰うとは…と言われる始末。
困り果てたヨムは、妹と書を読む時間に、案じてくれた妹に世子との関係を話した。
すると妹はお世辞で偽の心を得るのは簡単ですが、忠臣となるのは難しいと。
都合のいい耳に優しい言葉でご機嫌をとるのではなく、進言出来る臣下になるべきなのだと。
そして世子様は賢明な方ですから、分かってくれるはずとも。
そうして妹に背中を押された兄は、無言の講義を終えて帰る間際に、世子に謎かけを出題した。
「万物を一瞬で照らし、一瞬で暗くするものは?」と。
これを世子様が解けたら、私は文学を辞しますが、万が一不正解ならば、師への礼を尽くしてください…と言葉を添えて。
沢山の書物に埋もれ、調べに調べた世子は、「王の政治」と答えた。
いい政治を行えば民を明るく照らし、悪政を敷けば民を暗闇へと落とすから。
けれど「不正解です」と言われてしまう。
そうしてヨムは「まぶたが正解です」と言うのだ。
幼子のような答えだ!と怒る世子に、「幼子の目から見れば、全てが謎かけで全てが答えなのです」と言うヨムは、どんないい政治であっても目を閉じていてはそれは本当のいい政治とは言えないと。
目を開き民の暮らしを見なければ、民のための政治など出来ないのだ…と教えた。
そんなヨムの言葉に感銘を受けた世子は、茶を用意し、師と親睦を深めた。
その時に妹の話をきき、妹が背中を閉じてくれた…と言うヨムの言葉に、ヨムにと用意した黒飴を「これは私の真の師へ差し上げねばな」と、包んでヨムに持たせたのだ。
そうして黒飴は彼女の元へ。
その後、彼は尚膳のヒョンソンに13歳の妹が、そんな事を言うだろうか?…と感心の意味で話すと、「ホ・ヨムの妹ならあり得るでしょう。何しろ兄のホ・ヨムは17歳で文科に首席合格したのですから」と返すのだ。
その時、あの日彼女が文科に首席合格した兄のお祝いに王宮へ来た…と言っていた事を思い出したのだ。
そう、つまりは彼が真の師だと思った妹、それはあの日出会った彼女だったのだ。
吏曹判書の野望
弘文館大提学の息子のホ・ヨムが侍講院の文学に重用された事で、吏曹判書を筆頭とする外戚の者たちは焦っていた。
なんとか大提学を排除しなければ…と。
そんな中、一人余裕を見せる吏曹判書。
なぜなら彼には目論見があったから。
自分の娘を次期王の妻とすると言う。
府院君、王の義父としての地位を得る事が出来れば、外戚を排除しようと言う現王の動きは止められ、自分たちの地位は安泰となる。
外戚の者たちの会合後、自宅に酔って戻った吏曹判書は娘に尋ねた。
「王宮へ行ってみたくはないか?」と。
そして「望むなら、そこで暮らさせてやろう」と。
突然の雨、温室での逢瀬
世子から黒飴を貰ったヨヌは、その真意について悩んでいた。
悩んだ結果、反省文を文に認め世子に送ろうと考えた。
そうして使用人でもあり友でもあるソルと共に、街に反省文用の紙を買いに出かけたのだ。
店に入りすぐに、ソルは鍛冶屋から聴こえる音に誘われ、彼女に許可を貰い鍛冶屋へと向かった。
すると一人紙を探している彼女の元に、陽明君が現れたのだ。
しばし二人で紙を見て、彼女が店を後にするとポツリポツリと雨が降り出した。
すぐに彼女を追いかけて来た陽明君は、そのまま彼女を連れて温室へと向かった。
そこは彼の親戚が作っている温室で、時折彼も使わせて貰っているらしい。
温室について、書物で読んだことのある彼女は、キラキラと輝く表情でその中を見物していた。
そんな彼女に、彼は王様は花では唯一菊が好きなのだと教えてくれた。
いっそ反省文などやめて、菊を送ったらどうだ?と。
けれど彼女が反省文を送りたい相手は王様ではない。
その息子で彼の弟の世子だった。
そうして世子の言葉を思い出した彼女は、彼に王様について尋ねた。
父の心を得られないと聞いてはいたが、彼からは父を敬愛している様子が伺えた。
だから王宮に行くようにと促してみたのだ。
塀を乗り越えようとする程、兄を恋い慕う弟の為に…と。
会いたい気持ちが募ると、病になってしまう…と、陽明君を待っている人の事を案じる言葉を紡げば、ならば塀を越えて会いに行く気持ちも分かるだろう?と笑う彼。
そう、陽明君は離れにいる彼女をからかいに、よく勝手に塀を乗り越えて来ては怒られていたのだ。
いつも笑ってふざけて誤魔化してはいるけれど、何も手に入れられない人生の中、どうしても手に入れたいほど、彼は本気で彼女を想っていたのだ。
彼女が弟の世子の運命の相手だとも知らずに。
ふたつの月の出会い
一方、ヨヌが陽明君と温室で雨宿りをしている頃、彼女の友人のソルは大変なことになっていた。
鍛冶屋へと向かい、走っていた時に、吏曹判書の娘ボギョンとぶつかってしまったのだ。
ボギョンの連れていた乳母は、ひどくソルを怒ったが、人目を気にしたボギョンは見逃してくれた。
けれどボギョンが優しい訳ではない。
彼女は人目のある所では、完璧を演じる事が出来る娘だっただけだ。
所がその後、すぐ側に落ちているのも気づかないままに、乳母がお金の入った巾着がないと、装飾品の店の前で騒ぎ出した。
さっきの娘に盗まれた!と、慌ててソルを探しに駆け出した乳母。
その直後ボギョンは、走り去った乳母の立っていた場所に巾着が落ちているのを見つけた。
けれどそんな事は知らない乳母は、鍛冶屋にいたソルを捕まえて、巾着を返せと叩いたのだ。
そうしてあまりに怒っている乳母に、止めるように言ったボギョンは、ソルに「犯人ではない事を証明してみせろ」と、自分の邸へ連れ帰った。
そうして死なない程度に殴れ…と言うボギョンの命令の元、主人の名前を吐けと殴られボロボロになってになってしまったソル。
その頃、雨が上がりソルを探していたヨヌは、鍛冶屋で泥棒騒動を聞き、相手は吏曹判書の娘だったと言う証言から、吏曹判書の家を訪ねた。
彼女が現れた事で、自ら死なない程度に殴るよう命じていたボギョンだったが、真相を究明したかっただけなのに、このように殴るとは…と、自らの指示ではないと言う嘘をつく。
そうしてソルは犯人ではないとした上で、「紛失した分の額は私が弁償します」と言う彼女に、「こちらもお宅の財産を傷つけてしまったから、ご破算にしましょう」と言うボギョン。
けれど彼女はまるでもののようにソルが扱われた事が気に入らない。
「この者は物ではありません。私の友であり家族同然です。人に貴賎はありませんが、人格にはそれがあるります。紛失額は存じませんが、この者の受けた心の傷に比べれば大した事はないでしょう」と、強気の発言を残し、吏曹判書邸をソルと共に去った彼女。
王女のご学友
ソルと共に紙を染め、押し花を貼り、手作りで作った紙に反省文を書いたヨヌ。
彼を世子と知った上で、詩を引用し「忘れて欲しい」とも。
もう二度と会えないと思っていたから。
そうして彼から貰った黒飴の入れ物には、温室から手に入れた植物を植え、室内で育てて欲しいと言伝て兄に渡した。
手紙と共に。
その手紙と贈り物を兄のヨムが彼に手渡した日、講義に彼の妹のミナ王女が乱入する事件が。
兄弟の話になり、妹を悪く言う彼の言葉に耐えられず、外で盗み聞きをしていたミナ王女が入ってきて、泣きながらヨムに弁解するのだ。
なぜならミナはヨムが好きだったから。
一度王宮で見かけた時に、その麗しさにすっかり夢中になってしまったのだった。
そうして泣きながら弁解するミナに、「泣かないでください。麗しいお顔が台無しになってしまいます」と優しく声を掛けたヨム。
その言葉にミナは決意したのだ。
もっとヨムと近づくために、自分もヨムに学問を習おう!と。
そうして父である王に学問を学びたいと告げると、王は喜んだものの、ホ文学を師としたいと言う娘の言葉に強く反対した。
ヨムは未来のこの国を支える大事な人材だから。
そんな父と娘のやり取りを見ていた吏曹判書は、王様に提案したのだ。
同じ年頃の娘を臣下の中から選び、ご学友としてはいかがですか?と。
吏曹判書の目論見は、それを機に娘を世子嬪にしようと言う事だったのだ。
そうして「誰の娘がいいだろうか」と言う王様の言葉には、すかさず外戚仲間から吏曹判書の娘が適任だと声があがった。
それに対し王様は、その提案を受け入れた上で大提学の娘も学友にしようと提案したのだ。
そうして彼女はミナの学友として、再び王宮へと足を踏み入れる事になった。
その日、星宿庁の国巫ノギョンは大妃に呼ばれていた。
ミナの学友の顔相を見るようにと。
大妃は外戚の娘であるボギョンを世子嬪にしたかったから。
そうしてヨヌとボギョンは再び王宮前で顔を合わせた。
ノギョンの目の前で。
そしてノギョンは理解したのだ。
友人のアリに託された娘がヨヌだということを。
そして自分の目の前に今、ふたつの月が並んでいることを。