石川由依さん主演のアニメ「ヴァイオレット・エヴァーガーデン」第1話『「愛してる」と自動手記人形』のネタバレ(あらすじ)をまとめました。
第1話あらすじ
入院120日目
戦争で両手を失った。
ずっと”武器”として戦って行きてきた。
けれど今は何も出来ない。
ただベッドの上で休んでいるだけ。
それでも失くした腕の代わりに、アダマン銀製の新しい腕をもらった。
まだなれては居ないが、もう少し訓練すればある程度の任務には対応出来るはずだ。
しかし、いつも彼女命令をくれたギルベルト少佐からも、未だ新たな命令はない。
だから彼女はリハビリを兼ねて少佐に手紙を書いてみた。
あの日、ひどい怪我を負い離れ離れになった二人。
少佐は動けない程の重症だった。
だから案じていたのだ。
少佐はどうしているのだろうか?と。
そんな入院120日目の事、彼女の元にホッジンズ中佐が現れた。
退院出来ることになった彼女を迎えに来てくれたのだ。
連れて行かれた先は少佐の親戚の家、エヴァーガーデン家。
ずっと戦争の中生きてきた彼女を、少佐は案じてくれていたのだ。
いつか戦争が終わった時の身の振り方までも。
だから戦争が無事に終わった時には、自分が最も信頼出来る親戚、エヴァーガーデン家に彼女を預けたいと思っていた。
そうして今、そんな想いを少佐から託されたホッジンズは、彼女をエヴァーガーデン家へと連れて行った。
不要なら捨ててください
迎えに来てくれたホッジンズにも、「少佐はどうしていますか?命令はありますか?」と、少佐の事ばかり。
彼女もずっと案じていたのだ。
あの日「少佐の事は絶対に死なせない!」と必死に助けようとしていたから。
ボロボロになりながら大人の男を引きずって歩いた彼女の腕はちぎれ、それでも彼を助けたくて、口で彼の服をくわえ引きずろうとしたのだった。
けれど少佐は彼女に最後の命令をした。
「君は生きて自由になりなさい」と。
そんな彼女に少佐から彼女の事を託された旨を伝えるホッジンズ。
消息についても、曖昧にごまかし、生きているようにも取れる返事をした。
生きていてほしいという想いが強いヴァイオレットは、少佐が無事だと思ったのだろう。
ホッジンズについて、エヴァーガーデン家へと向かった。
息子を亡くしている老夫婦は、彼女の事を快く受け入れ、後見人となってくれた。
けれどうまく行かない。
彼女は孤児で、ずっと軍で生きてきたし、殺人兵器のように扱われてきた。
人の心を持たないとまで言われた彼女に、人の心を理解する事は難しかったし、空気を読む事も困難なのだ。
だから「本当の親だと思って何でも言ってちょうだいね」と好意で言ってくれた婦人に対し、「私は孤児で本当の親はいません。ですから代わりも不要です」と答えてしまう。
「そんな事言わないで。私達は息子を亡くしているから」と言う婦人に、「私では息子さんの代わりにはなりえません」と答えてしまう。
悪気はない。
ただ気の利いた言い方、相手の心を慮った会話が出来ない。
それは彼女の今日までの人生に大きく起因する事だろう。
そうして彼女をそこに預けて、ホッジンズが去ろうとした時、「どうして少佐は私をここに置くように言ったのですか?」と追いかけて来て尋ねた。
両腕を失ってしまった今、あの頃のように武器として戦う事は困難だ。
だから自分は価値がなくなり、少佐に不要とされてしまったのかもしれない。
そんな不安の中、両手を失っても可能な任務もある…と、自分に任務が欲しいと伝える彼女に、「ヴァイオレットちゃん、もう戦争は終わったんだ」と言うホッジンズ。
そう、もう戦争は終わった。
武器や戦争の道具は必要がない。
だから彼女は言ったのだ。
「不要だったら捨ててください!」と。
君はまだ役に立つ
彼女はエヴァーガーデン家をホッジンズと去る事になった。
家にはおいてもらえないが、後見人にはなってもらえる事になった。
だから彼女の名前は『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』だ。
そうしてホッジンズと共に彼の会社へとやって来た。
以前は中佐として軍に居た彼だったが、戦争が終わり軍を辞め、今は郵便事業に参入していた。
政府の郵便事業は、まだ民間には展開されていなかったからだ。
そうして会社としてる建物へと彼女を案内し、そこの屋根裏部屋を住まいとして提供してくれる事になったのだ。
そこでは生活するだけではない。
戦争のない世界で、彼女は新しい生活をする。
ここでポストマンとして働くのだ。
自分を「不要」だと言った彼女に、彼は仕事を与えてくれた。
「君はまだ役に立つ、働ける、ここで」と。
けれど彼女は軍や戦場しか知らない。
物心ついた頃から任務にあたってきた。
だから「休憩を適当にとりつつやって」と言われた郵便物の仕分けだって、休む事なく作業し、その日のうちに任務を終了してしまった。
同僚となったベネディクトは驚きつつも、「次は配達でもしてみるか?」と明日はというつもりで伝えたものの、ヴァイオレットに理解出来ない。
彼が帰った後に、一人配達に出てしまった。
作戦遂行能力は素晴らしい。
けれどもみんなのように出来ない。
普通の事が普通に出来ないのだ。
「愛してる」を知りたい
翌日、彼女が会社の窓拭きをしていると、一人の男が訪ねてきた。
田舎の幼馴染が他の男と縁談があるという事で、その幼馴染に自分の想いを伝えたい…のだという。
そうして彼の希望通り、彼女はお客さんを自動手記人形の元へと案内した。
自動手記人形、ドールと呼ばれる彼女たちは、文字の書けない人々の為に、彼らの言葉を代筆し手紙にする仕事をする。
話してくれた言葉をそのまま代筆するわけではない。
相手が伝えたい事はなにか、どう言えばその気持がより伝わるか。
そんな事を考え、言葉にできない人の心を汲んで文章にする仕事だ。
彼が話した事を元に、ドールのカトレアは次々と手紙に文字をタイプしていく。
そしてその文章が、そのまま彼女の心に重なった。
思い浮かぶのは少佐といた景色。
いつも彼の事ばかり見ていた。
彼女の世界には彼がすべてだった。
文字を教えてくれた。
人として接してくれた。
少佐の瞳の色と同じ色のブローチを見つけた時は、それを彼女にプレゼントしてくれた事もあった。
そんな少佐との日々を思い返している彼女の耳に、結びの一言が届いた。
「愛している」という。
それは彼女にとって特別な言葉。
あの日、二人がボロボロになった作戦の日、最後の命令をくれた少佐は「心から愛してる」と、とても優しい笑顔で口にしたのだ。
けれど少佐からそんな言葉を今まで聞いた事がなかった。
その言葉の意味が、少佐の気持ちが理解出来なかった。
ただ少佐の瞳の色と同じあのエメラレドのブローチ。
あれを見ると心がギュッとなるのだった。
だから彼女はカトレアに聞いた。
「どうして分かるのですか?愛してるの気持ちが」と。
それほどに知りたかったのだ。
少佐の言葉の意味、言葉の込めた想いを。
だから彼女はホッジンズに自ら頼んだ。
「自動手記人形になりたいです」と。
「どうして自動手記人形になりたいんだい?」と尋ねるホッジンズに「愛してるを知りたいから」と答えた。
ただタイプを打てばいい仕事ではない。
人の心を知り、人の心に寄り添い文章を綴って行く難しい仕事だ。
それでも命令に従う事しか出来なかった女の子が、自らの意志で「やりたい」と言ったのだ。
武器として扱われる彼女を知っていながら、ずっと助けられなかったホッジンズ。
その事が心残りだった所に、少佐から彼女を託されたのだ。
だから彼も彼女の為になにかしたいと思っていた。
戦争のない世界で、少佐の居ない世界で彼女が生きて行けるように。